共在する身体と思考を巡って

東京で他者と出会うために

ナビゲーター

加藤甫写真家

南雲麻衣パフォーマー、アーティスト

和田夏実インタープリター

メンバー
  • 大塚拓海学生
  • 鍾淑婷学生
  • 伊藤聖実魔女見習い
  • 佐藤卓也エンジニア
  • 山田ゆうこ俳優/走る人
  • 十代田詠子表現初心者
  • 原口さとみ編集・PR
手話通訳

田中結夏手話通訳者

米内山陽子劇作家・演出家・舞台手話通訳家

運営スタッフ

木村和博劇作家・編集者・ライター

スタディマネージャー

嘉原妙アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー

2020.8

8.21(金)

第0回

【スタディ1】ナビゲーター/スタディマネージャーからのメッセージ

1/2

「スタディ1|共在する身体と思考を巡って」では、ナビゲーターを加藤甫さん、南雲麻衣さん、和田夏実さんの3人が、スタディマネージャーを嘉原妙が務めます。 このスタディでは、写真家、ダンサー、インタープリター(通訳者・解釈者)とともに、身体性の異なる人々の世界に触れながら、“ことば”による表現だけではないコミュニケーションの在り方を探り、その可能性について考えていきます。 活動をスタートしていくにあたって、それぞれからのメッセージを掲載。ぜひご覧ください。

詳しくみる

8.23(日)

第1回

場所:Zoom

お互いの顔が見えないまま「出会う」「共に在る」

1/10

「共在する身体と思考を巡って」と名付けられたこのスタディ。初回はオンライン会議ツール「Zoom」を利用して、メンバーが集った。「ビデオはOFFにして入室をお願いします」。TARL事務局より事前に連絡を受け取ったメンバーはお互いの顔が見えない状態で3つのワークを実施。そのなかでどのようなコミュニケーションが生まれるのか、手探りの旅が始まった。

詳しくみる

視覚からの情報って大きいということ。文字が発明される前は聴覚が主体で、文字が発明されてからは、視覚に頼る時間が長かったからなのか、なんて事も考えた。反面、視覚が制御された中では想像力が刺激され、子供の頃のごっこ遊びのように風景や役柄をつくっていく、そんな感覚もあった。

そもそも、顔を見せて会ったとしても、その人の全てがわかるわけではない。わかったつもりになっているだけで、わからないことは確かにある。オンラインという形で、今回出会ったわけだが、出会うということが曖昧になってきているとおもう。出会った後にも、出会いがある。顔を早く見てみたいという気持ちもあるし、顔を見ておしまいというのは、さみしい。どこまでも、人と出会い続けたい。

2020.9

9.13(日)

第2回

場所:Zoom

私たちは本当に出会ったのだろうか

1/4

メンバー同士の顔が見えない状態でワークを実施した前回、普段とは違うかたちで他者と出会った。しかし、第1回を終えてしばらく経ち、ナビゲーターチームから生まれた問いは「私たちは本当に出会ったのだろうか」だっだ。第2回は、出会うとは何かを考えることから始まった。

詳しくみる

最初に入ってくるはずの情報が後から入ってきた。

画面越しの「出会い」と空間を共にする「出会い」、触れる「出会い」はぜんぶ別次元の現象みたい。

なにを持って「出会った」とするのか。仕事の関係で1日に50人くらいの人と名刺交換をすることがあるけれど、そのなかで本当に「出会った」人というのは、片手に収まる、もしかすると、1人いればいいんじゃないかな。

2020.10

10.4(日)

第3回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

撮る/撮られるから、他者の無意識に触れる

1/7

「『撮る』体験をみんなにしてもらおうと思っています」。 ナビゲーターであり写真家の加藤甫はメンバーにこう共有する。第3回はメンバーがはじめてROOM302に集い、「撮る/撮られる」行為を通して、無意識に触れる試みを実施した。

詳しくみる

被写体となる人の時間と身体を借りて、嘘をついている。嘘は決して悪いものではない。多くの映像作品は、現実でないものを作り出す「嘘」だ。頭ではわかっているのに、私はこの息苦しさと未だ折り合えないでいる

あの時の私たちにとって大事だったのは、綺麗な人物写真を撮るというよりも、一緒に何かをする、時間や場を共有することだったと思うので、即興的に次々と試すことができたのは、本当に楽しかった

10.31(土)

第4回

代々木公園

それぞれのもやもやから出会う

1/4

第4回、メンバーが集まった場所は代々木公園。秋の陽気が心地よい開けた場所でワークを実施。第1回から第3回を経て、自分に生じている変化や感じている「もやもや」を思い思いに共有する時間となった。

詳しくみる

このスタディーに応募した時、まさかスタディのメンバーのみんなと「出会う」とは思っていなかった

僕らは「出会い」に固執した。「本当にわかったのか?」「実際に会ったほうがわかるのか?」「腹を割って話したらわかるのか?」「通訳がいたらわかるのか?」「通訳が必要ない状況だったらわかるのか?」等々、「出会う」という一つの体験をいろんなパターンで繰り返して試している。4通りの、パラレルな出会い

電車に揺られながら、宿題である"モヤモヤ"について考える。モヤモヤってなんだ。この問い自体が、私の中にモヤモヤ宿す。「これが、私のモヤモヤです」と手に持って示すことができるのなら、それはたぶんモヤモヤじゃなく、ゴロゴロべたべたサラサラした、何か

2020.11

2020.11.14(土)

3つのスタディ参加者が集まり、活動を共有する会

「東京プロジェクトスタディ」合同共有会1

8月からスタディ1も含め3つのスタディが始動し、参加者たちとナビゲーターが共に活動を行ってきた。共有会1では、半年間の折り返しとなるこのタイミングで、それぞれの活動を共有。参加者はオンラインで、ナビゲーターとスタマネはSTUDIO302に集合し、各スタディらしく活動を紹介した。

11.28(土)

第5回

場所:Zoom

フィクションを織り交ぜながら、自分の分岐点について書く

1/1

第5回のテーマは「フィクションを織り交ぜながら、自分の分岐点について書く」。自分にとっての分岐点とはなにか、フィクションとはなにか。どのように織り交ぜていくのか、その結果何を目指すのか。大きな余白を受け取ったメンバーそれぞれが、自分なりの表現を模索する時間となった。

詳しくみる

書いた後にテーマが入ってきた気がする。「分岐点?」「フィクショナル?」今更考えても遅い、書いてしまったものはもう取り消せなくて、手元にない。しかし言えるのは、書いている時の感覚は最高だった。

しかたない、得意なこと、できることに置き換えよう。とスライドを立ち上げ、分岐点となった写真を貼り出す。文章を書きたくないから絵本にしよう。写真を貼ったらリアルすぎるな…絵も面倒だし…よし!RPG風にしてフィクションだと言い張ろう、あっもう時間。

フィクションを取り入れて書く作業は、未来から過去の分岐を思い出す時、何かが忘れ去られたり、自然と盛られたりすることに近い感じがしました

ひとまず、気のむくまま書き進めていくと、しばらくして、分岐点で出会ってきた人々と物語のなかで対話してるような感覚になった。もう会えないけど、でも会えるみたいなこの感覚は、寂しくてたまらないが私は好きだ。

2020.12

12.6(日)

第6回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

翻訳する身体と思考を巡って

1/9

「私たちは何を伝え合っているのだろうか」。第6回のゲストは、劇作家・演出家・舞台手話通訳家の米内山陽子さんと、舞台人・舞台手話通訳者・手話通訳者の田中結夏さん。手話通訳という役割でこのスタディに併走しているおふたりと共に、通訳する身体と思考を巡るディスカッションを行った。

詳しくみる

満たされた一日だった。満たされたというのは、ただ満足したと言うのに限らず、今まで足りなかったピースがまた一つハマったという感覚。これまでのワークは、よくわからないまま楽しんできたけれど、なんとなくそれがなんなのか、なんとなくだけど肌で感じることができた気がする。

こんなにも飛び込みたくなるトークセッションはなかなかない気がする。手元の自分メモがどんどん溜まる。

12.20(日)

第7回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

既存の「自己紹介」の手前にあるものとは?

1/1

第7回のゲストは美術作家の関川航平さん。「このスタディのテーマ『共在する身体と思考を巡って』と関川さんが持つ視点や創作の手つきに接点があるのではないか」と考えたナビゲーターチームが関川さんに相談し、実現した今回。これまでの考えてきた問い「出会うとはなにか」を体感する時間となった。

詳しくみる

コンビニの温度が、タバコの箱に残ってるって実はものすごいことなんじゃないか。うまくいえないけれど、どうでもいいことのように思えるけれど、実はすごいことだ。

彼が持参してくれた『タバコの箱の話』は、あきらかにスタディ1への応答で、僕にとってはまぎれもなく作家関川航平の作品だった。(彼にとっての作品かどうかは別、かもしれない。もしかするとこれに対するスタ1の応答次第では、これは彼にとっても作品になりうるの、かもしれない。)

関川さんの内言語を皆で猛ダッシュしたような3時間はなんというか終わったー!みたいな爽快感があって、それでいてなんだったんだろう、と笑えてしまう感じもあり。タバコの箱のような時間でした。

2021.1

1.10(日)

第8回

場所:Zoom

わかりやすさ/伝わるはやさだけにとらわれない言葉を味わう

1/1

「言葉は身近すぎるコミュニケーションツールで、わかりやすさ、伝わるはやさが重視されやすい。でも、それだけではないと思うんです」 こう語るのは、ゲストである歌人の伊藤紺さん。緊急事態宣言下に行われた第8回は、オンライン会議ツール「Zoom」を使用し、詩的言語を味わう時間となった。

詳しくみる

短歌と手話は似ている。短い言葉でイメージをおくるところが短歌だとしたら、それは手話にもあって、非言語の部分で言葉じゃなくてイメージだけを他者に渡したい時はとても有効。いま私が見たものをただ忠実に伝えたいときに限る。その時は「うた」をみているような気分になる。喧嘩の話も「うた」をみているような感じになるときがあって、喧嘩って綺麗なんだなって思っちゃうほど。両手をばちっとやって火花が散ってるようにみえる…あ、これ短歌だ。

短歌。という型に任せて言葉を放つこと。ドカンドカンと、スラックに感想が上がってくるのでこっちも言葉が爆発しそうなのだけれども、書こうとした瞬間に落ち着いてくる。言葉はそのまま使うことができない、というのが僕の考えで、そのまま使うことができないことまで含めて言葉というところも大事で、短歌や書くことはそのままではどうにもならない言葉を型に入れることで、なんとか手にとれるものにする技法なのだな。

特定を指す「あなた」、ひろい「あなた」。コピーを書く時に「あなた」は「YOU(NOT “you guys”)」そのものを表現したい時に使っていて、後者を意識したことがなかったから発見だった。

2021.1.31(日)

3つのスタディ参加者が集まり、活動を共有する会

「東京プロジェクトスタディ」合同共有会2

各スタディとも終盤に差しかかったところで、2回目の共有会をオンラインで開催。ナビゲーターから、活動の内容や、メンバーで議論するなかで見い出した課題について発表した。スタディメンバーも登場し、それぞれの問題意識や制作している成果物について語った。
3つのスタディに共通して、「出会い」や「コミュニケーション」というキーワードが出てきたことから、コロナ禍である現在の状況に対して、それぞれが応答を試みていることがわかった。

2021.2

2.7(日)

第9回

場所:Zoom

南雲麻衣のパフォーマンスから「フィクションを織り交ぜる」を考える

1/1

第9回は、ナビゲーターの南雲麻衣がパフォーマーとして参加した舞台作品をオンラインで観賞した。その後、オンライン会議ツール「Zoom」にメンバーが集まり、それぞれ感想を共有。第5回「フィクションを織り交ぜながら、自分の分岐点について書く」が辿りつくであろう、ひとつのかたちに触れる時間となった。

詳しくみる

「パフォーマンス」という芸術の形式を初めて真面目に見た。

一言で言うと「その場にいたかった」につきる。

誤解を恐れずに言えば、だいぶグサグサ刺さっていますが、刺された傷から悪い血がデトックスした気分で元気になったのはなんだろうという。

2.14(日)

第10回

場所:Zoom

これまでの経験をあらわす

1/1

「メンバーそれぞれがこのスタディを経て残す、成果物のようなものを共有しあえたらと思います。パフォーマンスなのか、企画書の共有なのか、プレゼンなのか、展示なのか、アウトプットのかたちは自由ですが、なにかしら発表していただきたいです」 事前にナビゲーターよりお知らせがあった第10回。メンバーそれぞれがこのスタディから掴もうとしているもの、育もうとしているもの、創り出そうとしているものの試作を発表した。

詳しくみる

なぜか、感想が言えない。とても楽しかったことは確か。

よくわからないものをどうにか共有しようとしているこのスタディも、みんなが『じぶん語』を駆使していて、少しずつ『スタ1語』が生まれているのだろう。

2021.3

3.14(日)

第11回

場所:ROOM302/301(3331 Arts Chiyoda)

誰にもなれない自分の身体に、一番近いコミュニケーションのあり方とは

1/1

「共在する身体と思考を巡って 東京で他者と出会うために」が一区切りとなる第11回。このスタディを経て、メンバーが育もうとしているものの試作を、アーツ千代田 3331内にあるアーツカウンシル東京 ROOM302/301に展示した。予約制のオープンスタジオ形式を取り、それぞれ訪れる時間をずらしながら、試作に触れる時間となった。

詳しくみる

わからないわからないと言いながら、まだわかりたくないんだろうと思います。

あれは私の空間であって、私だけの空間ではないのだと思う。

部屋のそこここにも、散らばる火種。誰がいつ使ったのか気になる。

その後の活動

7.30(金)

スタディの取り組みをまとめた冊子が完成!

1/3

スタディのプログラムのなかで行われた議論やワークショップの様子、スタディに取り組みながら考えたことを、ナビゲーターや参加者自身が綴ったアーカイブブック『東京プロジェクトスタディ1 共在する身体と思考を巡って ー東京で他者と出会うためにー』が完成しました。

詳しくみる

“東京で何かを「つくる」としたら”という投げかけに対して行われた、
さまざまなスタディ(勉強、調査、研究、試作)の記録です

読み込み中...

読み込み中...