2019.2.24 (日)

第7回

場所:パズル浅草橋

聞くためのラボを再現する

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“聞く”を主題とした活動を展開してきたこのスタディ。報告会では、各自が聞いてきた内容やどのように聞いてきたのかを発表するのではなく、テーブルを囲みながら対話を重ね、話題に出てきたトピックを板書するという普段の活動日の様子を再現した。改めて、この半年間このスタディでできたこととは何だったのだろうか?

まずは小屋竜平による活動の振り返りからスタート。9月に顔を合わせ、関心事を共有するための10時間以上の長い対話を行い、翌月には東京大空襲・戦災資料センターを訪問。以降、毎回ワークショップを行い、そこで感じたことや考えたことを言語化し続けてきた。新年を迎え、年末年始に聞いてきたことをみんなに聞いてもらう経験をし、そのことが今回の報告会の内容につながった、という一連の流れを紹介。まずはとにかく話をすることが大事だった、と説明をした。
次に、前回の活動日に瀬尾夏美がメンバーから一対一で聞いたことをベースにした、個々のメンバー紹介が読み上げられた。何に関心を持っていて、現在どのような生活を送り、これから何をしていきたいのか。聞くという行為は必ずその対象者がいる。ここでは、瀬尾というフィルターで編集された一人ひとりの姿が浮き彫りとなった。
最後に、そのメンバー紹介を受けて全員でいつもの活動日のように話をすることに。思っていたよりも、「聞くこと」ができなかった、と言う瀬尾。しかし、その代わり長い時間をかけて話をすることで、「答えのないおしゃべりを許容し、価値を見出しあえるコミュニティ」や「目的然としない会話とそのための時間」「都市空間にできた余白のような場所」がつくれたのではないかと続けた。
それでは、どうしてここまで「聞くこと」が難しいのか。語り手に会いに行くためのアポイントを取ることや聞いたあと、それをどうするのかというアウトプットに関する責任、ある程度密な相手から話を聞いてしまうことで関係性が変容するのではないかという不安などが、その要因だったのではないかと整理。それを受けて、実際の行動にはなかなか移せなかったものの、ラボでおしゃべりを重ねたことで、「かたつむりな耳を持つ、聞くことのできる身体」になってきたのではと話は展開した。これから東京という都市で話を聞きに行くための土台は十分に形成されたのではないか、そう感じた瞬間だった。

また、毎回スタディ内で『ラボ通信』を発行してきたが、この日は一般公開用に編集した『ラボ通信』を配布。当初は関心の共有のための媒体として想定していたが、回を進めるごとに課題の掲載なども含め前回までの振り返りとして制作されるようになっていった。活動日には対話が主になる分、文章を書くための場所として使われた。
この日配られた『ラボ通信』にはこれまでの活動紹介と、メンバーによって綴られた「わたしにとっての『かたつむり』」、瀬尾による振り返り文「ラボは建ったのか?」というエッセイを掲載し、スタディをより深く知ってもらうためのツールとしても活用した。
さて、”聞くことのできる身体”に鍛えられた『かたつむり』は、これから何に耳をすませていくのだろうか。

Text=高橋創一 Photo=川瀬一絵