2020.1.19 (日)
共有会
場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)
互いのことばを朗読しあう
1月19日に行われたスタディ全体の共有会。3つのスタディが集まり、この半年間実践してきたことを報告し合った。スタディ1は、各メンバーが執筆したエッセイを抜粋し、執筆者以外のメンバーが朗読することで、メンバーそれぞれの「東京でつくる」という個人的な試行錯誤の過程を分かち合い、支え合ってきたスタディ1の様子を表現してみるというパフォーマンスを行った。スタディ1のメンバーはこれまで、お互いに「道連れ」のようにして、それぞれのことばを探り出し摑む過程を、受け止め合い、応答し合うことで、お互いに伴走してきた。そうやって書かれた文章が、この共有会で「空気を震わせ、音になる」ことを通して、世の中に放たれていく。そんなプロセスの山場を、ギフトのように、スタディメンバー同士がお互いの「声」でサポートし合う。そんな朗読パフォーマンスだ。
テキストの抜粋は執筆者自身が行い、抜粋されたテキストの順番と、各テキストの朗読をだれが担当するかの構成は石神が担当した。共有会当日、石神から台本をシェアされる。石神から渡された台本には、「あせらず、心の準備が整ってから読み始めること。沈黙を恐れない」「普段よりも、1.5~2倍ゆっくりめに話す」「感情をこめたり、演技したりする必要はない。等身大で、自分の声を自分の耳でしっかり聞きながら、ことばを味わうように読む」といった、石神からのことばが添えられている。相手との間(ま)や自分の呼吸を大事にすること。このスタディで大切にしてきたことが、ここでも表れている。
いよいよはじまった朗読。この日駆けつけてくれた昨年度のスタディメンバーたちも見守るなか、メンバーたちが書いたことばが「声」に出されていく。ただ決められた順番で読み進めるのではなく、また、書かれたことばをそのまま流すのではなく、息遣いやリズム、余韻、ことばとことばの間に生まれる余白……そういったものもまた相手に手渡されていく。ことばが「声」に出され、その「声」が手渡されながらつながることで、ことばは解像度を上げ、輪郭を成し、共鳴し合い、ひろがりとなって、場にひらかれる。手渡されることで、ことばはそれを書いたひとだけのものではなくなり、関係性のなかで生きはじめる。ことばはひとりでは成り立たないのだと、メンバーが朗読する声に耳を傾けながら、強く思う。聴いているひとたちに、確かに、なにかを届けることができたと思えるパフォーマンスだった。そして、手渡されたことばたちが、そのひとのなかで今後どのように変化し、関係を持ち、育まれていくのだろうか……。
なお、共有会で朗読された各エッセイの完成版は、冊子としてまとめられ、データでも読むことができる予定だ。メンバーたちが半年間、共に探り、育んできたことばを、ぜひそちらで見届けてほしい。
Text=高須賀真之