2020.1.19 (日)

共有会2

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

多様な世代、背景の参加者がいる学びの場

1/4

2019年度の東京プロジェクトスタディの3チームが一堂に会して、約半年間試行してきたことの「共有会」を行った。

各スタディは30分ほどの時間を振り分けられ、スタディ1「続・東京でつくるということ ―わたしとアートプロジェクトとの距離を記述する」とスタディ2「東京彫刻計画 ―2027年ミュンスターへの旅」の発表の後に、スタディ3の参加者とスタッフ全員でステージに上がった。

スタディ3では、流動的な東京において、どのように‘Home’というものが築かれ、培われているのかをリサーチし、最終的にプロトタイプの映像作品を制作した。活動日では、自分なりの‘Home’という概念のとらえ方や、調査協力者との協働関係の築き方を探りながら実践につなげた。

共有会では、毎回の活動日で実施していた「チェックイン」が参加者全員で行われた。「チェックイン」とは、活動日の冒頭での挨拶を兼ねているもので、全員が同じお題に答えていくものだ。回を重ねるごとに参加者の個性やその人の日常が垣間見えるようになり、他者の生活をリサーチする実践の一環として、気づけばスタディ3の名物コーナーとなっていた。共有会での「チェックイン」のお題は、「このスタディに参加していなかったら、やらなかったであろうこと」。

どの参加者も、調査協力者との関係性のなかで自分自身を振り返り、自分の居場所をつくりながら ‘Home’についての手がかりを見つけていたことがうかがえた。大橋は、活動日でもゲストとして招いた加藤文俊さんが、人々の日常生活が展開される現場でのフィールドワークと概念化を行うコンセプトワークの間を橋渡しするラボラトリーワークの重要性とそのあり方について議論したことを参考に、「スタディ」を振り返った。「スタディ」は、多様な世代、背景の参加者が集まって、半年間かけて同じテーマに取り組み、同じ立場で学ぶ貴重でおもしろい「ラボラトリーワーク」の場になっていたのではないかということである。大学のゼミやカルチャースクールといった場との共通点を見出しつつも、世代や属性が近い人々で構成されがちなそれらの場とは違う、「スタディ」ならではの学びの場の特徴を、「ラボラトリーワーク」というキーワードを使いながら語った。

執筆=染谷めい/構成=ジョイス・ラム