2018.12.22 (土)

第5回

場所:九段下~東京国際フォーラム

フィールドワーク開始!

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これまでのレクチャーを通して彫刻をもっと知りたい、という興味を持ちはじめ、東京の彫刻をみるためにフィールドワークへ出かけることとなった。とはいえ、東京の彫刻は数多あり、そこから何を選び見たら良いのだろう。2027年の東京を考える上で、まちなかにある彫刻(パブリックアート)を調べながら、何かをつくっていくことはできないだろうか。そう思考を巡らせたとき、佐藤慎也は『東京彫刻計画』を思いついた。『東京彫刻計画』とは、東京藝術大学彫刻科ができた1887年から10年ごとに2027年まで行われている架空のアートプロジェクトである。このフィクションを重ねながら実際にまちなかの彫刻をみてまわることで、東京の彫刻を考えていくフィールドワークを決行した。

このフィクションに当てはめてみると、上野の『西郷隆盛像』(1897年)は第2回 東京彫刻計画に出品された作品である。また、前回のレクチャーに出てきた、2次元のものを3次元にしたいといった”彫刻のブーム”を辿ったり、10年ごとに設置されている彫刻を見ていくことで、現代に至るまでの”彫刻の概念の拡張”が見えてくるのではないだろうか。そう考えて、当日は、皇居周辺の彫刻を10年ごとの設置年に区切って見て行くことに。事前調査から、皇居や丸ノ内周辺には、前回話題になった日本の裸婦像の先駆例とも言える『平和の群像』の他にも、そこかしこに彫刻があることがわかり、このエリアのリサーチを行うことになった。

午後3時、冷たい雨の降る中、九段下の『子爵品川弥二郎像』の前に集合。『子爵品川弥二郎像』の設置は1907年である。「高い西郷像を見上げる時と同じ気持ちになるなぁ」「何で高いんだろう?」「小田原さんの話にあった、戦前、軍に関係のある像にのみ設置されていた『平和の群像』と同じ理由で、台座が高いのかもしれない」「江戸時代が終わった直後につくられた台座だと考えると、当時の技術力はすごいよね」「像の目線は、靖国神社の方向を向いているのかな?」など、感想を交わしながら歩く。第二次世界大戦中の金属回収で撤去された『寺内元帥騎馬像』の台座に終戦後、“親しみやすいもの”として設置された『平和の群像』を前にしては、「現代の“親しみやすいもの”になるよう、もう一度置き換える必要があるんじゃないか」などの感想が述べられた。陽はだんだん暮れて冷えてくるけれど、話は尽きない。金属回収の対象とならなかった彫刻のひとつ『楠木正成像』の存在感は、夕方、ライトアップされると圧倒的で、思わず「かっこいい」と声が漏れるほどであった。

皇居のお堀沿い、東京商工会議所内にある『渋沢栄一像』はなんと、2018年に設置されたもの。数時間振りの屋内の暖かさに癒されながらも、「なぜこの時代にこの像をつくることになったのか」という疑問が湧いた。丸の内方面を進んでいく道中には、イルミネーションで彩られたまち並みにも映える彫刻や、それとは対象的に夜にひっそりと佇む抽象彫刻群を見た。
九段下を出発して、東京国際フォーラムまでの間に見つけた彫刻の数は15。それぞれ、設置年、作品名、作者を記録することも忘れない。フィールドワークのルートと彫刻の位置はGoogle Mapにまとめた。

Text=堀切梨奈子 Photo=︎加藤甫

関連資料

第5回についてのお知らせメール1
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差出人:坂本有理

2018年12月20日(木)

件名:第5回についてのお知らせ

スタディ2のみなさま

こんにちは。スタディマネージャーの坂本です。
12/22日(土)のスタディについてご連絡します。

4回にわたり、Sculpture Projects Munsterや芸術祭についてのおさらい、
ぼんやりブレスト、彫刻についてのレクチャーなどをしてまいりましたが、
次回は、公共空間における彫刻リサーチとして、
みなさんと外に出かけ、実際に彫刻をみにいってみようと計画しています。

集合場所等が普段と異なりますので、以下必ずご確認をお願いします。

■集合について
集合時間 15:00
集合場所 九段下の「子爵品川弥二郎像」
地図はこちら→ https://goo.gl/maps/c111efCyF642(九段坂公園内)

■リサーチでめぐるルート
九段下〜東京駅界隈
1時間半〜2時間くらいかけて移動します。
リサーチ後、カフェまたは3331にて、振り返りの時間をもちます。
天気や当日の状況によっては、ルートや時間配分など変更する場合があります。

■服装など
かなり歩くため、歩きやすい靴・暖かい服装で、
荷物は身軽にしてご参加いただければと思います。

それでは土曜日、心地よい気候になることを願って!
よろしくお願いいたします。

…………………………………………………………….

公益財団法人東京都歴史文化財団
アーツカウンシル東京

坂本 有理

第5回についてのお知らせメール2
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差出人:宮武亜季

2018年12月21日(金)

件名:Re:第5回についてのお知らせ

スタディ2のみなさま

おはようございます、居間 theaterの宮武です。

昨日坂本さんからご連絡いただいたように、
明日のスタディは、3331から出て、公共空間に設置されている彫刻を
みんなで一緒に見てまわりたいと考えています。

前々回あたりのスタディからInstagramに集めはじめた彫刻の写真ですが、
歴史的な人物の銅像から、裸婦像、仏像、動物、キャラクター、抽象的な造形など
かなり多様な彫刻が集まってきています。
https://www.instagram.com/munster2027/
(なかなか面白いです。まだみていない人はぜひ!)

集まった写真を眺めていると、
ミュンスター彫刻プロジェクトの参加作品と同様に、
東京の公共空間に設置されている彫刻にも、
時代とともに変化する作品の傾向がみてとれるのではないかと感じています。

まずは、1907年に設置された「子爵品川弥二郎像」前に集合し、
スタディ内で話題になった日本の裸婦像の先駆例とも言える「平和の群像」を実際に見つつ、
彫刻がある程度まとまっている、皇居まわりや丸ノ内周辺を見てまわりたいと考えています。
(時間があれば他にもまわったり、雨が降ったらカットしたり適宜判断しつつ進みます)

今回のフィールドワークで、
居間 theaterが作品制作をする際のリサーチの一端も
感じてもらえるのではないかと思います!

また、この、フィールドワークをもとに、2月のスタディ成果発表に向けて
プロジェクトをもう一歩前に進めたいと考えています。
そのお話も明日したいと思います。

クリスマスシーズンのお忙しい時期とは思いますが、ぜひご参加ください!
(外に出る都合上、出欠のご連絡をお忘れなく)

どうぞよろしくお願いいたします。

居間 theater
宮武亜季