2019.1.27 (日)

第8回

場所:お台場〜芝浦

3回のフィールドワークから見えたこと

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架空のアートプロジェクト『東京彫刻計画』を重ねたフィールドワークも3回目。今回は、第14回 東京彫刻計画にあたる2017年に設置された『実物大ユニコーンガンダム立像』を見るため、お台場に繰り出す。

凍えるほど寒い新橋駅で合流し、モノレールに乗り込みお台場へと向かう一行。駅に降りてまず目に入ったのは、ミュンスター彫刻プロジェクトにも出展している作家、ダニエル・ビュレンの『25PORTICOS The Color and its Reflections』。彼の作品は世界的にも多く、日本にも4箇所にある。少し前までGINZA SIXの吹き抜けでも展示されていた。カラフルなボーダーが目を引く作品だが、周囲の人は通り過ぎていくだけだ。
海風を受けながら黙々と歩みを進め、観光名所ともなっているお台場の『実物大ユニコーンガンダム立像』に着いた。宮武亜希(居間 theater)が「すべてを把握しきれない」というように、なんと巨大で、情報量の多い彫刻だろう。「これをつくろうというモチベーションはなんだろう」「小田原さんの言っていた職人気質によるものなのかな?」と、終始全体像をとらえきれないまま圧倒される。
一方、このガンダム像の横に設置されている金のオブジェ、マルク・クチュリエ『自由の炎』は誰にも注目されていない様子。また、フレデリック=オーギュスト・バルトルディ『自由の女神像』についてメンバーの小笠舞穂は、お台場に置かれていることに「レプリカ感を感じる」と感想を語っていた。
この後一行は、ゆりかもめに乗って芝浦ふ頭へ。芝浦アイランドとよばれるエリアの再開発とともに設置された彫刻は、いずれも2007年に開催された第13回 東京彫刻計画の出品作品にあたる。この日最後にみた彫刻は、フェルナンド・ボテロの『DOG』。設置された場所にちなんだ愛称もついている。沢山の人に撫でられたのか、頭部が変色している。設置された広場のタイル目地の向きと、この彫刻の向きに相関性はなく、「建築がついていけてない、位置の微妙さが良い」と小笠は言った。

今回のフィールドワークで見た彫刻は17体。これまでの3回のフィールドワークを振り返ってみると、今回のエリアは今まで巡ってきた2箇所とははっきりと異なっていた。「等身大の人物像を見なかった」「デフォルメされたものが多い」「商業エリアは有名な作家の作品で人を呼び込んでいるが、マンションはキャプションがなくて、作者のわからない作品が多い」「居住エリアの中にキャプションもなく存在する彫刻たちは、作品として、よりもエクステリア的に置かれているのではないか」といった声が出た。
加えて、「皇居周辺には具象的な作品が多く、抽象的な作品は東京都美術館周辺にあった。あまり抽象的な作品は求められていなかったように思う」「丸の内はコンセプチュアルな作品が多い」と、土地とそこに設置されている彫刻の関係に迫る意見も。保存の観点からは、「場所と関係していると残されるかというとそうでもない。過去に、特定の神社のためにつくられた作品があったが、今は保存されていない。場所と関係しすぎても保存されないのかもしれない」と東彩織(居間 theater)からの指摘もあった。
こうしたことに気づくきっかけとなる『東京彫刻計画』というフィクションの有効性と懐の深さを感じる一日だったが、実際に彫刻と対峙することで感じるこの面白さを報告会で伝えるにはどうすればよいのか。それぞれに収穫と課題を得て、最後のフィールドワークを終えた。

Text=堀切梨奈子

関連資料

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差出人:宮武亜季

2019年1月26日(土)

件名:第8回のフィールドワークについて

みなさま

こんばんは、居間 theater宮武です。
先日のMLで告知しましたが、明日は湾岸エリアのリサーチ&報告会作戦会議を行いま
す!

10:00 新橋駅、鉄道唱歌の碑前集合 https://g.co/kgs/kUAe3y↓  ゆりかもめ
お台場 ガンダム
↓  ゆりかもめ
芝浦ふ頭駅
↓  徒歩→芝浦アイランドなど
田町 ランチミーティング
   14:00ごろ田町付近で解散予定

明日は寒波が来るそうなので、暖かくしてお越しください!

また、宿題は明日までです。
みなさま東京の彫刻のリサーチを進めてくださいね!

どうぞよろしくお願いいたします。

居間 theater
宮武亜季