2020.10.4 (日)
第3回
場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)
撮る/撮られるから、他者の無意識に触れる
初回のスタディから1ヶ月以上が経過した10月4日、第3回のワークプログラムが実施された。
今回はナビゲーターであり写真家の加藤甫が主導で進行。ROOM301に撮影用の機材を持ち込み、仮設の撮影スタジオを作った。隣のROOM302には、加藤がこれまでに撮影してきたプロジェクトの写真がプリントアウトして置いてある。どのタイミングでメンバーが来てもいいことが事前にアナウンスしてあり、オープンスタジオに近い場になっていた。
メンバーたちは、思い思いのタイミングでROOM302に集う。
「早めに家を出た。でも色々あって、会場についたのは3分前くらいだった。マスクをマウスシールドに変えて、ゆるくそわそわした状態で始まった」(十代田さん)
「1回目、2回目を経て顔も名前も知っている人ばかりだけれど、そこはかとなく『初めて生身で会う』ということへの緊張と、もっと相手のことを知りたい、お話したいという興奮が入り混じっている状態の自分がいることに気がついた」(山田さん)
オフラインではじめて出会って生まれた感覚をそれぞれ味わいながらワークがはじまる。ROOM302に置かれた写真を眺めたり、置いてある写真に関連するエピソードを加藤が共有したり、そこから生まれた会話に身を任せたり、その場に居るためのチューニングをメンバーそれぞれが行っていた。
次に実施したワークは、「それぞれのポートレートを撮る」。2人1組になり、どのような方法でどんなイメージの写真を撮影するのか話し合う。準備ができた組から仮設スタジオへ移動し、撮影を行った。
撮られる側が身構える前にシャッターを押す、撮影者も共に写ろうとする、「素敵な写真が出来上がることを期待しない」を合言葉に撮影する、インタビューをしながらシャッターを押す、あるいは相手の変化に不安を感じながらおそるおそる。組ごとにそれぞれのかたちで「撮る/撮られる」行為を体験した。
ナビゲーターの加藤は、今回のワークショップを次のように振り返っている。
「みるという行為を通じて、他者の無意識に触れる。撮影ではなくてもよいのかもしれないが、自分が普段行っている撮影という行為を通じてやってみた。みんなはどんな無意識に触れたのだろう。今回僕は3人目としてあの場所にいた。みんなとは違う無意識に触れていたように思う」
それぞれが撮影した写真は後日共有された。シャッターとフラッシュがシンクロせず真っ黒なカットや目を瞑ってしまっているカットなどもあり、撮影時にどのようなスピード、タイミングでシャッターを押したのかまで記録されている。
撮る/撮られるという行為を通して、他者と自分の無意識に触れようとした今回。お互いにお互いの無意識に触れようとした結果、組んだペア同士の関係性にも変化が生まれており、行為を通してさらに違う出会いを得られたようだった。ここまで丁寧に出会いを重ねた先に何があるのか、期待と緊張と不安を抱きながら、第3回のワークを終えた。
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写真1枚目:ROOM301に設営された仮設スタジオ
写真2枚目:ナビゲーターであり写真家の加藤が携わったプロジェクトの写真がROOM302に置かれ、スタディメンバーを出迎えた
写真3枚目:写真に関連するエピソードを共有している加藤と各々のペースで話を聞くスタディメンバー
写真4枚目:ナビゲーターの南雲とメンバーの大塚さんが「ポートレート」を撮り合っている様子
写真5枚目:実際に撮影された写真、被写体は大塚さん
写真6枚目:撮影した写真は後日、Googleフォトで共有された
写真7枚目:今回実施した「それぞれのポートレートを撮る」ワーク中にメンバーの十代田さんが取っていたメモ
Text=木村和博