2019.1.17 (木)

第6回

場所:上野~水道橋

上野・水道橋の彫刻31体を見る

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1887年から10年ごとに『東京彫刻計画』という架空のアートプロジェクトが行われているとしたら……というフィクションを重ね、九段下から東京国際フォーラムまでの彫刻をリサーチした前回だったが、今回は上野・水道橋エリアを中心にフィールドワークを行うことに。ここには、小田原のどかさんのレクチャーでも話題にあがった。『西郷隆盛像』がある。果たして、エリアの違いなどによって、そこにある彫刻にも特色があるのだろうか。

午前10時、肌寒さの中太陽の日差しが心地よい、冬晴れの上野公園に集合した一同。さっそく、1897年に高村光雲によってつくられた『西郷隆盛像』をみた。佐藤慎也は、「第2回 東京彫刻計画の目玉作品だ」と言う。また稲継美保(居間 theater)は、「ここにこうして残っているということは、戦争時の金属回収で溶かされなかったということか」とつぶやく。
次に、一同は国立西洋美術館前へ。ロダンの『カレーの市民』を前にして、東彩織(居間 theater)が感慨深げに「こんなに上野の彫刻をじっくり見るのは初めて」と漏らす。改めて、まちなかの彫刻を見つめる経験というのは日常から離れている行為なのだと、皆歩きながら感じているようだ。また、同じくロダンの『考える人』のキャプションには、”拡大作”との表記がされている。鋳造年は、ロダンの死後。「3Dプリンタもないのに、どうやって拡大したのか」「本人が目を通したものとそうでないものに違いはあるのか」「拡大する、というコンセプトは近年見られる巨大彫刻にも繋がっていくのではないか」と考えは広がる。大きさの割に佇まいが可愛らしい『野口英世像』については、「我々の頭の中ですでにキャラクター化されたイメージが彫刻になっている」と東が発言した。
これまでの人物像から一転して、東京都美術館にはたくさんの抽象彫刻。東京藝術大学の中には、名だたる教授陣の胸像や、卒業生の作品があった。ここで上野から電車で移動し、水道橋エリアへ向かう。
御茶ノ水で電車を降りて、水道橋の本郷給水所公苑まで歩き、3体の彫刻を見た。遠藤松吉『母子像』を前に、「裸の女性と子どもは何の象徴なんだろう?」「平和の象徴として女を全裸にさせるのは疑問」といった言葉が投げかけられ、小田原さんのレクチャーが端緒となった裸体像の問題が再び浮上した。

以上でフィールドワークは終了。続けて、報告会に向けてのミーティングを東京ドームシティのレストランで昼食をとりながら行った。報告会はミニショー、プレゼンテーション、グランドショーの3部構成のイメージだと言う稲継が「東京彫刻計画の売りは何か」と問いかけると、「(フィクションだからこその)歴史の長さではないか」と佐藤慎也が答えた。その後、それぞれが今までにないような「めっちゃ楽しいプレゼン」にするための方法を考えた。スタディマネージャーの坂本有理が「報告会のために無理に何かをつくる必要はなく、どうスタディを伝えるのかを考えたい」と話すと、稲継が「スタディとしての転換期は、そもそも彫刻について何も知らなかったと気づいて、興味を持ちはじめたこと。いまは『東京彫刻計画』と名付けて調査をしている状況で、ばかばかしいけれどもスタディの真面目さが出た部分でもある。そこを真摯に報告して、おまけとしてパフォーマンスをつけたい」と語り、東は「ラボ型のプロジェクトでプロセスだけ説明すること」への疑問を投げかけた。それに対し稲継は「(プロセスを)理解してもらった上で、応援し続けてもらうためにショーアップが必要だ。参加者含め全員でチームプレゼンをするのはどうか」と述べるなど、報告会で大事にしたいことをお互いに確認し合った。

Text=堀切梨奈子

関連資料

第6回についてのお知らせメール
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差出人:宮武亜季

2019年1月9日(水)

件名:第6回についてのお知らせ

みなさま

おはようございます、居間 theater宮武です。

次回スタディと報告会に向けての
プロジェクトの方向性とスケジュール調整についてご連絡します。

◯プロジェクトの方向性について

先ほど梨奈子さんから前回のレポートを共有してもらいましたが、
レポートの【Ⅰ:はじめに 「東京彫刻計画」を重ねて東京の彫刻を巡る(ナビゲーター)】にある通り、「東京彫刻計画」というフィクションを重ねて、
公共空間にある彫刻をみていきたいと考えています。
詳しくは、レポートをご覧ください。

そのために、東京の公共空間に設置されている彫刻について、
引き続きリサーチを行います。
また、報告会でのこのプロジェクトのアウトプットについては、
次回スタディで作戦会議をさせてください!

◯スケジュール調整・その1・リサーチ

1/19のスタディの前に2回目の公共空間彫刻リサーチを開催します。
前回来られなかった方は(もちろん来られた方も!)ぜひご参加ください。

これまで部屋の中で考えてきた彫刻が、
実際に公共空間に設置されているのを見て回るのは
とても面白く、かつ、重要なリサーチだと感じています。
前回は、彫刻、ひいては、美術の見え方が変わるような体験でした。


リサーチ(候補:1/13・14・17)

◯スケジュール調整・その2・作戦会議

いよいよ2/24の全体報告会が近づいてきました。
1/19(土)15時〜18時のスタディでは報告会に向けた作戦会議をしたいと思います。
もしこの日に参加できない場合は、個別で作戦会議を開催したいと思います。

2月以降は、報告会に向けて随時プロジェクトを進めて行く形になると思います。
その日程調整の方法などは作戦会議で相談させてください。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします!

宮武亜季