2018.10.25 (木)

第3回

場所:Yahoo! JAPAN LODGE

ふたりのライターが見つめるもの

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スタディ3には、宮内俊樹さん(音楽ライター、Yahoo! JAPAN事業開発担当)と杉原環樹さん(ライター、インタビュアー)が伴走している。ジャンルの異なるライターが同じ場に立ち会い、それぞれの視点で書かれたテキストを読むことが、メンバーにとって参考になると考えての設計だ。今回は宮内の職場であるYahoo! JAPANのオフィス内にあるコワーキングスペースで、ふたりのこれまでの活動を聞き、後半は「音楽と私の現在点」を知るためのワークショップが行われた。

宮内さんが音楽ライターになったのは、大学生のときにアルバイト雑誌の制作に関わっていたことがきっかけ。20代でライターとして執筆を開始し、音楽雑誌やCDのライナーノーツなど、音楽をメインとしながらさまざまな媒体で活動。2006年にはYahoo! JAPANに入社し、社会貢献事業、大阪での開発拠点の立ち上げ、アプリケーション開発など幅広く仕事を行ってきた。自身の来し方を振り返り、自分の副業と本業は別だと思っていたという宮内さん。しかし、最近SNSでコミュニティが可視化されていく中で、自分の好きなもの同士が点と点がつながるように結びつくことが増えてきたと感じるようになったという。だからこそ、宮内さんは「点と点をつなげたい」と語る。偶発的な結びつきがあるからこそイノベーションが起き、新しくネットワークが広がっていく様子を描いているからだ。
また、SNSでプロフィール欄に「/(スラッシュ)」を用いて肩書を併記する人が増えていることに触れ、宮内さん自身が肩書につけている項目をひとつひとつ解説。社内で『FQ (Future Questions)』という未来を発明する人を応援するメディアを立ち上げたことや防災事業などにも取り組んでいると述べ、ライターとしては「昔は雑誌にしてもカテゴリーで分けられていたけれど、今のウェブメディアはその境を越えているものが多い。自分も単にレビューを書くのではなくて、カルチャー全体の中で捉える記事を書いていきたい」とこれからの展望を語った。

続いて杉原さんは、現代美術やデザインの領域をメインに活動している。美大生時代に初めて商業誌に寄稿するようになり、出版社で編集者として経験を積み、退職してからはライター一本で仕事を続け、現在に至る。
清宮が杉原さんをこのスタディに声をかけるきっかけとなったのは、東京アートポイント計画のプロジェクトインタビューシリーズで取材を受けたこと。その構成の巧みさに目を見張ったという。
杉原さんは、「人の言葉がより伝わるような記述に関心があるタイプ」だと自身について説明し、技術としての文章を尊び、対話をいかに上手くまとめるかに興味があると語る。さらに、インタビューの仕事を例に、「できるだけ下調べをして望みますが、最も大事にしているのは、文字起こししたテキストを読む時間です。まとめ方に悩んだり、見出しの付け方をどうしようかと思っても、何回も文字起こししたものを読むと方向性が見えてくる。聞き取った言葉を反芻する時間が、いいアウトプットのためには絶対に必要なんです」と仕事の要点を整理した。

休憩を挟んで後半では「音楽と私の現在点」のマッピングを行った。清宮が例として、現在自分が関わっているプロジェクトを図解したものを示し、メンバーもどのように音楽とか関わっているかを一枚の紙の上に描き込んだ。それを元に、各自が図解の内容を解説。当初はみなどのように説明したらいいのか模索している様子だったが、最終的に言葉に落とし込んだことによって、抱えている課題が明確になってきたようだった。

Text=高橋創一