2021.2.7 (日)
第9回
場所:Zoom
南雲麻衣のパフォーマンスから「フィクションを織り交ぜる」を考える
2021年2月7日、オンライン会議ツール「Zoom」にメンバーが集まり、第9回を開催。ナビゲーターの南雲麻衣がパフォーマーとして参加した舞台作品のライブ配信を、それぞれの場所からオンラインで観賞した。
「第5回の『自分の物語にフィクションを入れてみる』に通ずる部分があります。南雲麻衣という物語を真実のまま話をするよりはフィクションを交えながら語ることで、真実味を帯びるというような」と南雲から事前に共有があった今回。
作品から、あるいは画面の向こう側にいる登場人物としてパフォーマンスをする南雲麻衣から、メンバーそれぞれが何を感じたのか、その一部を記載する。
「作品を観て。だれがなにを考えたのか知りたいのではなくて、自分がなにを感じたのか言葉にしたいと思った。遠回しに、自分なりに、安心できる土台から離れて受け取ることがしたい。わかりたいが、わかったつもりになっていることとか。わからないことへの解像度が低いまま、自分勝手におそれを感じて離れたりすることとか。恐さもあるけど、でもなんか格好いいし、面白いし、惹きつけられるし。『あなたはいつでも征服したがり』って言葉がすごく、ドキッとした。個と個で出会うことの妨げを自分で作っていないか。舞台の登場人物として、そこにいた南雲さんに出会って、ダンスのワークショップ一緒に受けに行きたいって思った。」
「自分は基本的に信じるというか、感じたことをその場で強く信じなければいけない、言われたことにしがみついてしまうやり方で言葉を理解していることに気がつく。疑って、グレーのままでいるよりもぶつかって、いたい目に遭いながら修正していくタイプ。(中略)
よく考えると、舞台の上でも南雲さんっぽさはあるし、舞台の南雲さんといつも話している南雲さんがつながっていることも感じる。無言と言うのが自分にとってはとても心地よい。頑張って聞こうとしなくていいからである。いつも聞くことは自分にとって集中力がいることであるからだと思う。
でもやはり、最後の南雲さんの舞台を見ると、もっと話をしたいとも思う。」
「コミュニケーションがすれ違う悲しさは死ぬまで続くけど、絶望しないぞ、って感じが、最後の台詞に込められている気がした。」
「うまく嘘をつくためには(=相手に信じさせるためには)本当のことを少し混ぜるといい、という話を聞いたことがあるけれど、本当のことを悟らせないためには、嘘をついている時の身体を使うといいのかもしれない」
「今日みて、なんとなくわかった気がする。ノンバーバルなコミュニケーションに興味があるけど、仕事は言語に関わっている。ダンスはノンバーバルじゃない?ダンスは立派な言語だなって思った。ダンスはノンバーバルなコミュニケーションとは言えない感覚になっている。」
今回は、第5回のテーマ「フィクションを織り交ぜながら、自分の分岐点について書く」が辿りつくであろう、ひとつのかたちに触れる時間となった。メンバーそれぞれが、今回のスタディで受け取ったものをどのようにかたちにしていくのか、その問いが迫ってきたように思う。
尚、この記事に記載されていることは、すべてが事実だとは限らない。しかし、メンバーそれぞれが作品に触れてそのとき感じたことの痕跡は、確かにあるはずだ。
Text=木村和博